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2026年1月29日

荷役とは?物流における意味と作業内容、重要性を解説

「荷役」というと、単に荷物を積み下ろすだけの作業と思われがちですが、実は物流コストの管理や品質維持において、重要なプロセスの一つです。

荷役の知識が不足していると、適正なコスト判断ができないばかりか、現場での事故リスクや法的な責任問題を見落としてしまう可能性もあります。

そこで本記事では、荷役の基礎知識から、運送との違い、使用する機械、コスト削減における課題まで体系的に解説します。業者と対等に渡り合える知識を身に付け、自社の物流課題を解決するヒントにしてみてください。

 

荷役とは?基本事項

まずは、「荷役」に関する基本事項について解説します。物流業界では日常的に飛び交う言葉ですが、その意味を正確に把握していないと、業務の責任範囲が曖昧になってしまいます。この章では、荷役の意味や、運送との決定的な違い、現場でよく耳にする関連用語について整理していきましょう。

 


荷役の意味

荷役とは、物流過程において物品を「積む」「降ろす」「運ぶ」「保管する」「仕分ける」といった一連の作業の総称です。正しい読み方は「にやく」です。「かえき」と誤読されることがありますが、物流業界では「にやく」が標準語です。

物流には「輸送・保管・荷役・包装・流通加工」という5大機能がありますが、荷役はこのすべての機能をつなぐ「関節」のような役割を果たしています。


荷役と運送の違い

「荷役」と「運送」の決定的な違いは、「移動の距離」と「作業の性質」にあります。運送は「地点Aから地点Bへの移動」そのものを指し、荷役は「地点AおよびBにおける積み下ろしや構内移動」を指します。

2024年問題や働き方改革により、ドライバーの長時間労働が規制される中、運送(運転業務)と荷役(附帯作業)を明確に区分し、対価を支払うことが法律的にも求められるようになっています。

運送は「移動」、荷役は「扱い」です。この境界線を明確にすることが、適正なコスト管理とコンプライアンス遵守の第一歩となります。


関連用語の解説(横持ち・縦持ち・構内作業など)

物流現場では、荷役作業をより具体的に指し示す専門用語が多用されます。これらを理解しておくと、業者との打ち合わせがスムーズになります。

●横持ち:同じ敷地内や近隣の倉庫間で荷物を移動させること。または、大型トラックが入れない納品先へ、小型トラックに積み替えて運ぶこと。

●縦持ち:高層ビルや商業施設などで、トラック着車場所(1階など)から、上層階の納品先まで荷物を運び上げること。

●構内作業:物流センターや倉庫、工場などの敷地内で行われる検品、梱包、ラベル貼りなどの作業全般。

これらの用語は見積もりの明細項目としても頻出します。費用の内訳を理解するためにも、正確な意味を押さえておきましょう。

 

物流における具体的な内容と範囲

荷役と一口に言っても、その作業は単一ではありません。トラックへの積み込みから、倉庫内での保管、仕分けに至るまで、物流のあらゆる場面に荷役作業が存在します。この章では、荷役を構成する6つの基本工程と、作業が行われる場所(陸上・湾岸)による分類について具体的に見ていきます。

 


荷役作業の6つの基本工程

荷役作業は、JIS(日本産業規格)において主に6つの作業に分類されています。これらは単独で行われることもありますが、基本的には連続したフローとして機能します。

1. 積卸し:トラックや貨車、船などに荷物を積む、または降ろす作業。

2. 運搬:物流センター内の比較的短い距離の移動作業。

3. 積付け:荷物を規則的に配置し、保管や輸送を効率的に行えるよう整理する作業。

4. 取り出し:保管されている荷物から必要なものを選別、取り出す作業。

5. 仕分け:種類、方面別、配送ルート別などに荷物を分類する作業。

6. 荷揃え/ピッキング:出荷指示に従い、荷物を配送先ごとにまとめる作業。

これらの6つの工程がスムーズに連携することで、効率的な物流が実現します。自社の課題が6つの工程のどこにあるのかを見極める視点が重要です。


荷役の場所による分類

ここまで作業内容による分類を見てきましたが、荷役は作業が行われる「場所」によって、「陸上荷役」と「湾岸荷役(港湾荷役)」の2つに大別されます。これらは扱う貨物の量やサイズが異なるだけでなく、適用される法律や必要な資格、使用する機材も大きく異なります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

 

陸上荷役

陸上荷役は、トラックターミナル、物流センター、鉄道貨物駅などで行われる作業を指し、国内物流の大部分を占めます。

●トラック荷役:ドライバーや倉庫作業員が、フォークリフトや手作業で荷台への積み込み・荷降ろしを行う。時間短縮のために「パレット輸送」への切り替えが推奨されている。

●鉄道荷役:貨物列車へのコンテナの積み替え作業。専用の大型フォークリフトやトップリフターが使用される。

●倉庫荷役:保管を主目的とし、ラックへの格納や在庫管理、ピッキング作業が中心。

多頻度小口配送の増加に伴い、スピードと正確性が厳しく求められます。また、人手不足が深刻化しており、機械化やDX化が急務となっている領域です。

 

湾岸荷役

湾岸荷役は、船と陸の間で貨物を移動させる作業で、貿易の要となる大規模な荷役です。

●船内荷役: 船のクレーンなどを使い、船倉内の貨物を甲板や埠頭へ移動させる作業。

●沿岸荷役: 埠頭に降ろされた貨物を上屋(倉庫)へ運搬したり、トレーラーに積み込んだりする作業。

「港湾運送事業法」という専門の法律に基づき、許可を受けた事業者しか行うことができません。湾岸荷役は天候の影響を受けやすく、取り扱う貨物が大型(コンテナなど)であるため、高度な専門技術と大型設備が必要です。

 

荷役作業で使用する主な機械・設備

効率的かつ安全に荷役を行うためには、扱う荷物の種類や重さに適した機械・設備の選定が不可欠です。人の手による作業には限界があるため、現代の物流現場では機械化が進んでいます。この章では、現場で頻繁に使用される代表的な機材とその特徴を紹介します。

 


クレーン

クレーンは、重量物や、人力・フォークリフトでは持ち上げられない大型貨物の移動に使用されます。

●天井クレーン: 工場や倉庫の天井レールを走行するタイプ。建屋全体をカバーできる。

●ガントリークレーン: 港湾で見られる巨大なクレーン。コンテナ船からの積み下ろしに使用。

●トラッククレーン(ユニック車): トラックの荷台に小型クレーンが付いているもの。建設現場など設備がない場所への納品に便利。

操作には「クレーン運転士」の免許や「玉掛け(たまかけ)」の資格が必須となり、専門性が高い作業です。


コンベヤ

コンベヤは、荷物を連続的に一定の速度で運搬するための設備で、定型的な作業の自動化に貢献します。

●ベルトコンベヤ: ゴムや樹脂のベルトが回転して運ぶ。バラ物(土砂など)や箱物に適している。

●ローラーコンベヤ: 複数のローラーが回転して運ぶ。段ボール箱やパレットの搬送によく使われる。

●伸縮コンベヤ: トラックの荷台奥までコンベヤを伸ばし、手荷役の負担を軽減するタイプもある。

大量の荷物を一定ルートで運ぶのに最適ですが、ルートの変更が難しいため、レイアウト設計が重要になります。


パレットラック

パレットラックは、荷物を効率的に保管・移動するための基礎となる道具です。

●パレット: 荷物を載せる台座。木製、プラスチック製、金属製などがある。サイズは「1100mm×1100mm(イチイチ)」が標準規格。

●パレットラック(重量ラック): パレットごと商品を収納できる棚。空間を立体的に活用し、保管効率を飛躍的に高める。

●ネステナー: 移動可能なスチール製のラック。使用しないときは重ねて収納できるため、柔軟なレイアウトが可能。

パレット化を進めることで、後述するフォークリフト作業が可能になり、手荷役を大幅に削減できます。


フォークリフト

フォークリフトは、現代の物流現場における「主役」とも言えるマテハン機器です。爪(フォーク)をパレットに差し込み、昇降・運搬を行います。

●カウンターバランスフォークリフト: 車体の後ろに重りがある座乗式。安定性が高く、パワーがあり、屋外やトラックへの積み込みに向いている。広い旋回スペースが必要。

●リーチフォークリフト:爪が前後に動き、立ったまま操作するタイプ。小回りが利き、狭い倉庫内の通路でも作業可能。段差や屋外には不向き。

物流倉庫ではリーチフォーク、トラック積み込みではカウンターフォークといった使い分けが一般的です。


マテハン(マテリアルハンドリング)

マテハンとは、機械そのものの名称というよりは、「モノの移動に関わる作業を効率化する技術・機械全般」を指す概念です。

近年ではAIやロボティクスを活用した次世代マテハンが注目されています。

●自動倉庫(AS/RS): スタッカークレーンが自動で棚へ入出庫を行うシステム。

●AGV(無人搬送車): 磁気テープやQRコード、レーザー誘導で自動走行し、荷物を運ぶロボット。

●自動ソーター: バーコードを読み取り、高速で荷物を方面別に仕分ける装置。

マテハンの導入は初期投資がかかりますが、人手不足の解消と、24時間稼働による生産性向上に大きく寄与します。

 

荷役作業に関する法律・安全規制

荷役作業は、重量物を扱う性質上、常に労働災害のリスクと隣り合わせです。そのため、労働安全衛生法をはじめとする厳格な法規制が存在します。この章では、担当者として知っておくべき事故事例、5大災害と対策、事故を防ぐためのリスクアセスメントについて解説します。

 


荷役作業の事故件数と事例

陸上貨物運送事業における死傷災害のうち、荷役作業中に発生する割合は約7割とされており、道路交通事故による死傷よりも多い場合があるのが現実です。

典型的な事故事例は以下の通りです。

●荷台からの転落: トラックの荷台での作業中、足を踏み外して転落。骨折や頭部強打などの重傷になりやすい。

●フォークリフトの激突・転倒: 走行中のリフトが作業員と接触、または急旋回でリフトが転倒し、オペレーターが下敷きになる。

●荷崩れ: 積み上げられた荷物が崩れ落ち、作業員が巻き込まれる。

「止まっているトラックでの作業だから安全」というのは大きな誤解です。荷役中こそ、最大の警戒が必要です。


荷役5大災害と対策の実施

陸上貨物運送事業における死傷事故の発生を受け、厚生労働省などは頻発する典型的な事故を「荷役5大災害」と定義し、重点的な対策を求めています。

~重大な災害事例に学ぶ災害防止ポイント~

これらは日常業務に潜む身近なリスクですが、特にトラック荷台からの「墜落・転落」は命に関わる重大事故につながりかねません。

管理者としては、「設備などのハード面」と「手順徹底などのソフト面」の両輪で対策を講じることが求められます。


リスクアセスメントの実施

リスクアセスメントとは、潜在的な危険性(リスク)を事前に見つけ出し、その重要度に応じて対策を講じる手法です。

具体的な実施方法については、厚生労働省の以下のページを参照してください。

事故が起きてから対策するのではなく、「起きる前に潰す」のがリスクアセスメントの目的です。


危険予知訓練(KYT)の実施

危険予知訓練(KYT)とは、作業開始前に小集団で話し合い、危険への感受性を高める訓練です。

実施方法は、現場のイラストや実際の状況を見ながら、「どんな危険が潜んでいるか(危険)」「どうなると事故になるか(予知)」を従業員同士で出し合います。

会社全体で安全対策として取り組むことが大切です。毎日のルーチンワークに取り入れることで、「慣れ」や「油断」を防ぎ、安全対策に繋がります。「指差し呼称」を行い、安全目標を唱和して意識を統一するのも効果的です。


荷役作業に必要な資格と法規制

特定の荷役作業を行うには、労働安全衛生法に基づく資格が必要です。無資格での運転や作業は法律違反となり、事業者・作業者双方が罰せられます。

主に必要な資格は以下の通りです。

●フォークリフト運転技能講習: 最大荷重1トン以上を運転する場合に必須。

●玉掛け技能講習: クレーン等のフックに荷物を掛け外しする作業(1トン以上)。

●クレーン運転士免許: 吊り上げ荷重5トン以上のクレーンを操作する場合。

2023年10月の法改正により、最大積載量2トン以上の貨物自動車において、荷役作業時の昇降設備(ステップやハシゴ)の設置と保護帽の着用が義務化されました。対象範囲が拡大しているため注意が必要です。

 

荷役料とは?料金体系と相場の把握         

物流コストの見直しを迫られた際、真っ先に確認すべき項目の一つが「荷役料」です。しかし、内訳が複雑で見積もりの妥当性が判断しづらいという悩みもよく聞かれます。この章では、荷役料には具体的にどのような作業費が含まれているのか、その計算方法や仕組みについて解説します。

 


荷役料に含まれる作業項目

見積書の「荷役料」は一括りにされがちですが、実際には複数の作業対価の積み上げです。内訳を理解することで、コストの妥当性を検証できます。

荷役料に含まれる主な構成要素は以下の通りです。

●入庫費:トラックから荷物を降ろし、倉庫内の検品エリアへ移動させる費用。

●出庫費:保管場所から荷物を取り出し、出荷場へ移動させ、トラックへ積み込む費用。 ※入庫料と出庫料をセットで「入出庫料」として請求されることもあります。

●ピッキング費:出荷指示に基づき、商品を個単位やケース単位で拾い出す作業費。

●仕分け費:ピッキングによって集められた商品を、さらに配送ルートや納品先ごとに分類するための作業費用。

●梱包費:品のサイズや特性に合わせて、段ボール箱への箱詰めや緩衝材による保護を行うための費用。

●流通加工費:値札付け、ラベル貼り、ギフト包装、セット組みなどの加工作業費。

国内物流とは異なり、商品を海外へ輸出する場合には別途コストが発生します。通常の荷役費に加え、通関料(通関手続き費用)、コンテナの陸上輸送費、取扱手数料など、貿易独自の費用が必要となるため、見積もりの際は注意が必要です。


荷役費の計算方法

物流会社へ業務を一括してアウトソーシングした場合は、取り扱った物量に応じて費用が変動する「従量課金制」が一般的です。月間の荷役費は、基本的に以下の計算式で算出されます。

荷役費の基本的な計算式は以下の通りです。

荷役費 = 荷役料単価 ×(当月入庫数量 + 当月出庫数量 + そのほか作業数量)

その月に入庫した数と出庫した数の合計、およびその他発生した作業量に対し、あらかじめ契約で定めた「単価」を掛け合わせることで請求額が確定します。

物量が少ない月は費用が安くなり、多い月は高くなる仕組みです。なお、この計算式はあくまで「作業」に対する費用であり、荷物を保管するスペース代としての「保管料」は別途計算される点に注意が必要です。

 

コスト削減と物流における課題の解決     

荷役の仕組みやコスト構造を理解した上で、次に考えるべきは「業務の効率化やコストの削減」です。自社努力で改善できるポイントと、専門家の力を借りるべきポイントを見極めることが大切です。この章では、具体的な削減手法と、物流のプロによるサポートについて紹介します。

 


コスト削減に効果的な方法

コスト削減と聞くと「人員を減らす」ことや「単価を叩く」ことを想像しがちですが、実は作業現場の「無理・ムラ」をなくすことが、最も確実なコストダウンへの近道です。

ここでは、コスト削減に効果的な方法について解説します。

 

作業負担の適正化

荷役コストを削減するためには、無理な作業工程や、不明瞭な指示をなくし、作業負担を適正化することが、最も効果的です。

具体的なアクションは以下の通りです。

●入荷・出荷のスケジュール調整:トラックが集中する時間を分散させ、待機時間(=無駄な人件費・待機料)を削減。

●パレット化の推進:バラ積みからパレット輸送へ切り替えることで、積み下ろし時間を短縮。

●作業の標準化とマニュアル整備:教育コストの削減に繋がる。

●マテハン機器やシステムの導入:目視確認や手書きの手間を減らす。

作業環境を整え、従業員がスムーズに動ける仕組みを作ることは、コスト削減だけでなく、従業員満足度の向上や定着率アップにも寄与します。

 

ロケーション管理の見直し

倉庫内の「どこに何を置くか」というロケーション管理を最適化することは、作業員の移動時間を短縮し、ピッキング効率を劇的に向上させるカギとなります。

具体的なアクションは以下の通りです。

●ABC分析に基づく配置: 出荷頻度の高い商品(Aランク)を出荷口の近くに配置し、頻度の低い商品(Cランク)を奥に配置する。

●保管ルールの使い分け:商品特性に合わせて保管方式を変え、スペース効率と作業効率のバランスをとる。

●デジタル表示器の活用:どこに何があるかを瞬時に把握できる環境を作る。

適切なロケーション管理は、作業動線を短縮するだけでなく、誰でも迷わず作業できる環境を作り出し、属人化の解消にもつながります。

 

アウトソーシングの活用

自社での改善に限界を感じる場合や、より抜本的なコスト削減を目指す場合は、物流業務そのものを専門企業へアウトソーシング(外部委託)することが有効な解決策です。

アウトソーシングすることで以下のメリットが得られます。

●コア業務への集中

●品質とコストの両立

●最新技術の活用

目先の委託費はコストに見えますが、長期的な設備投資や管理の手間、ミスの削減効果を含めて考えると、トータルコストの削減に大きく貢献する選択肢と言えます。

 

 

まとめ

本記事では、「荷役(にやく)」の基礎知識から、運送との違い、法的責任、コストの仕組みまでを網羅的に解説してきました。

荷役は単なる「積み下ろし作業」ではなく、物流品質とコストを左右する極めて重要な工程です。荷役作業の効率化や安全管理を徹底することで、コスト削減や、社会的信用の向上が期待できます。

物流担当者として、まずは基礎を正しく理解しておくことが、社内での改善提案や、パートナー企業との円滑な交渉を行うことが大切です。本記事を参考に、現場管理や業務改善にお役立てください。

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