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2025年11月20日

低温倉庫とは?米や食品の品質を守る温度管理の仕組みと選び方を解説

「近年の猛暑で、商品の品質管理がますます難しくなってきた…」

「低温倉庫の導入を検討しているが、コストや選び方がわからない」

企業の物流・品質管理を担当されている方の中には、このような課題を抱えている方も多いのではないでしょうか。商品の品質は、顧客からの信頼に直結する重要な要素です。しかし、適切な保管環境を構築できなければ、品質劣化によるフードロスやクレームの発生は避けられません。

本記事では、低温倉庫の導入に向けて、基本的な定義と定温倉庫との違い、導入により得られるメリット、失敗しない選び方について解説します。

品質管理体制を強化し、安心安全な商品を提供するためにも、ぜひ最後までご覧ください。

低温倉庫とは?定温倉庫との違いを分かりやすく解説

低温倉庫とは、10℃以下の温度で商品を保管し、品質の維持を目的とする倉庫です。

低温倉庫の導入を検討する上で、まず低温倉庫の基本的な定義を押さえておきましょう。

よく混同されがちな「定温倉庫」との違いを明確に理解しておくことも大切です。

ここでは、倉庫の温度帯による分類や、低温倉庫で保管される代表的な商品についても触れながら、基礎知識をわかりやすく解説します。


低温倉庫の定義と役割

低温倉庫は、10℃以下の温度で商品を保管する施設のことです。

食品や医薬品、化学製品などの多くは、温度変化によって品質が著しく劣化するため、商品の鮮度や性能を長期間維持するという重要な役割を担っています。

具体的には、以下のような目的で利用されます。

  ● 食品の鮮度維持:青果物などの呼吸を抑制し、鮮度を保つ

  ● 腐敗の防止:微生物の活動を抑え、商品の腐敗を防ぐ

  ● 品質の安定:化学変化を防ぎ、医薬品や化学製品の性能を維持

低温倉庫は単に商品を冷やすだけでなく、その価値を守るための不可欠なインフラなのです。


定温倉庫との明確な違い

低温倉庫と定温倉庫の最大の違いは、「温度管理の目的」です。低温倉庫は「低く保つ」こと、定温倉庫は「一定に保つ」ことを目的としています。

この目的の違いにより、管理する温度帯や適した商品が異なります。自社の目的に合わない倉庫を選んでしまうと、適切な品質管理ができず、無駄なコストが発生する可能性があります。

両者の違いを以下の表にまとめました。

比較項目低温倉庫定温倉庫
目的温度を低く保つ
(品質劣化の抑制)
温度を一定に保つ
(品質の安定)
温度帯10℃以下年間を通じて一定
(例: 15℃~20℃)
湿度管理必須ではない場合が多い厳密な管理が必要な場合が多い
主な商品米、青果物、乳製品、
加工食品
ワイン、美術品、医薬品
精密機器

自社が扱う商品の特性を見極め、「低さ」と「一定性」のどちらが重要かを判断することが、適切な倉庫選びにおいて大切です。


倉庫の温度帯による4つの分類

倉庫は、保管温度によって大きく4つに分類されます。

倉庫業法では、保管する商品の特性に応じて適切な温度管理を行うために、温度帯が定められています。この分類を理解することで、自社商品に最適な倉庫クラスを判断することが可能です。

一般的な温度帯の分類は以下の通りです。

倉庫クラス通称温度帯主な保管品
C3級常温倉庫10℃~30℃程度加工食品、飲料、
アパレル、雑貨
C2級低温倉庫10℃以下米、青果物、
一部の加工食品
C1級冷蔵倉庫10℃~-20℃精肉、鮮魚、
乳製品、チルド食品
F級冷凍倉庫-20℃以下冷凍食品、冷凍水産物、アイスクリーム

自社の商品がどの温度帯での管理を必要とするのかを正確に把握しましょう。


低温倉庫で保管される代表的な商品

低温倉庫では、特に米や青果物をはじめ、常温では劣化しやすく、冷凍も適さないデリケートな商品が保管されます。

低温倉庫で保管される代表的な商品は以下の通りです。

  ● 米穀類

  ● 青果物:野菜や果物

  ● 加工食品:漬物、佃煮、惣菜など

  ● 酒類・飲料:ワインや日本酒など

  ● 医薬品・化学製品

現在扱っている商品だけでなく、将来的に取り扱いを検討している商品が低温管理を必要とするかどうかも、倉庫選びの重要な視点となります。

低温倉庫を導入する5つのメリット

低温倉庫の導入は、品質向上やコスト削減など、5つの大きな経営メリットをもたらします。

低温倉庫の導入には、当然ながら初期投資やランニングコストがかかります。しかし、そのコストを上回るだけのビジネスメリットが存在するのも事実です。

品質の維持やフードロスの削減といった直接的な効果はもちろん、取引先からの信頼向上や事業拡大のチャンスにも繋がります。

ここでは、低温倉庫を導入することで得られる5つの具体的なメリットを深掘りします。


1.商品の品質を長時間維持できる

最大のメリットは、商品の品質を長期間、高いレベルで維持できることです。

低温環境は、食品の呼吸や微生物の活動といった化学変化を抑制し、劣化のスピードを遅らせます。

例えば、夏場の常温倉庫では数日で鮮度が落ちてしまう葉物野菜も、低温倉庫ならシャキシャキ感を長く保つことができます。これにより、顧客の手元に届くまで良い状態で商品を提供できるようになります。

徹底した品質維持が、最終的に顧客満足度とリピート率の向上に直結するでしょう。


2.食品ロスを削減できる

低温倉庫で品質を維持することで、フードロスを削減することが可能です。

鮮度劣化や腐敗、害虫の発生による廃棄がなくなるため、これまで捨てていた分のコストがそのまま利益として残ります。

廃棄コストの削減は、低温倉庫導入の費用対効果を示すうえで最もわかりやすく、説得力のある指標のひとつです。


3.取引先からの信頼が向上する

安定した品質の商品を供給することで、取引先からのクレームが減少し、企業の信頼性が格段に向上します。

「あの会社の商品はいつでも品質が良い」という評価は、価格競争から一線を画す強力なブランドイメージを構築します。これにより、取引先との関係が強化され、安定的で長期的なビジネスが実現可能です。

企業の信用は一朝一夕には築けません。低温倉庫は、その土台を支える重要な設備投資といえるでしょう。


4.季節変動に左右されない安定供給が可能

低温倉庫があれば、猛暑や厳冬といった季節変動や異常気象に左右されずに、年間を通して商品を安定して供給できます。

外気温の影響を受けずに最適な保管環境を維持できるため、供給のブレがなくなり、販売機会の損失を防ぎ、売上の最大化が可能になるのです。

天候によって収穫量が変動する農産物も、豊作時に仕入れて低温倉庫で保管しておくことで、品薄の時期にも安定して供給するといった戦略的な在庫管理が実現します。


5.商品ラインナップの拡充ができる

低温倉庫を持つことで、これまで扱えなかった温度管理が必要な商品を取り扱えるようになり、事業拡大のチャンスが生まれます。

新たな商品ラインナップは、新規顧客の開拓や、既存顧客へのクロスセル(合わせ買いの提案)に繋がり、企業全体の売上向上に貢献するからです。

低温倉庫は、守りの品質管理だけでなく、攻めの事業戦略の「投資」でもあります。

低温倉庫を選ぶ際の5つのポイント

低温倉庫選びで後悔しないためには、「温度管理の精度」をはじめとする5つのポイントを確認する必要があります。

価格や広さだけでなく、事業計画との整合性や長期的な運用を見据えた多角的な視点での選定が不可欠です。

ここでは、失敗しない低温倉庫選びで重視すべき5つの選定ポイントを解説します。


1.温度管理・監視システムの精度

倉庫選びで最も重要なのは、商品の品質に直結する「温度管理の精度」と、それを保証する「監視システム」です。

倉庫内の温度にムラがあったり、万が一の設備故障時に発見が遅れたりすれば、大規模な品質事故に繋がる恐れがあるからです。

以下の点を確認しましょう。

  ● 24時間365日、遠隔監視が可能か

  ● 設定温度から外れた際のアラートの通知の設定

  ● 温度データの自動記録と容易な検索

中身をコントロールする「システム」の性能が、低温倉庫の価値を決定づけます。


2.断熱性と省エネ性能

月々の電気代を抑えるために、建物の断熱性能と冷却設備の省エネ性能も必ず確認しましょう。

初期費用が安くても、断熱性が低く、古い設備を使っている倉庫は、冷気が逃げやすく無駄な電力消費が多くなるため、結果的にトータルコストが高くなるケースが多いです。

内見時には、壁や天井に使用されている断熱パネルの厚さや種類、冷却設備がインバーター搭載型かどうかなどを業者に確認しましょう。

長期的な視点でコストパフォーマンスを評価することが、賢明な選択につながります。


3.立地とアクセスの利便性

倉庫の立地は、物流効率全体に大きく影響します。

主要な仕入れ先や配送先から離れていると、毎日の輸送コストがかさむだけでなく、顧客への納品時間も長くなってしまうためです。

具体的には、高速道路のインターチェンジからの距離や主要な取引先へのアクセス時間、大型トラックの出入りの可否、通勤のしやすさを確認しましょう。

地図上だけでなく、実際に周辺道路の交通量なども考慮して、自社の物流ネットワークに最適な立地を選ぶことが大切です。


4.セキュリティと衛生管理体制

商品という大切な資産を守るため、セキュリティ体制と、食の安全を守る衛生管理体制は厳しくチェックすべきです。

盗難や異物混入といったトラブルは、直接的な損害だけでなく、企業の信用を大きく損なう原因となります。

以下を、セキュリティと衛生管理のチェックリストに盛り込みましょう。

  ● 防犯カメラや入退室管理システムの整備

  ● HACCPに沿った衛生管理の実施

  ● 防虫・防鼠対策の定期的な実施

  ● 整理・整頓・清掃(5S)の徹底

清潔で安全な倉庫は、そこで働く従業員の士気を高め、作業品質の向上にもつながります。


5.倉庫の規模と事業計画との整合性

倉庫を選ぶ際は、現在の保管量にピッタリの規模ではなく、将来の事業拡大を見越した上で、適切な規模や契約形態を選ぶことが重要です。

事業が成長し、すぐに手狭になってしまっては、移転などで余計なコストと手間が発生します。逆に、過剰に大きな倉庫は無駄な賃料を払い続けることになります。

自社の3~5年後の事業計画を基に、必要な保管スペースを試算してみてください。

また、繁忙期と閑散期で物量に差がある場合は、一時的にスペースを追加できるような柔軟な契約が可能かどうかも確認しておくとよいでしょう。

まとめ:高精度な低温倉庫で品質管理を強化し、ビジネスを成長させよう

本記事では、低温倉庫の基礎知識から、導入による5つのメリット、失敗しないための5つの選び方までを解説しました。

商品の品質を長期間維持し、顧客からの信頼を獲得するためには、低温倉庫の導入が有効な手段です。そして、導入効果を最大化するポイントは、倉庫という「ハコ」そのものではなく、いかに高精度な「温度管理」を実現するかにあります。

以下のような課題はありませんか?

  ● 倉庫内の温度ムラを知りたい

  ● 24時間365日、安心して管理できる体制を築きたい

  ● 長期的な視点でランニングコストを削減したい

上記課題を解決に導くのが、太平洋工業株式会社の【温タイム】です。

まずは当社スタッフへご相談ください。情報収集の段階でも構いません。貴社の課題をヒアリングし、運用に沿ったご提案をいたします。

「まずは話を聞いてみたい」という段階でも大歓迎です。安心してご相談ください。

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