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2026年1月7日

倉庫の温湿度管理が重要な理由とは?品質保持のポイントと最新IoTも紹介

倉庫の温湿度管理は、「製品の品質保持」「法律順守」は当然ですが、「従業員の熱中症対策」「毎月の電気代の削減」といった、働く“人”や“コスト”に関する悩みとも密接に関わっています。

倉庫の温湿度に関する多くの課題は、適切な管理体制を構築することで大きく軽減することが可能です。

この記事では、倉庫の温湿度管理がなぜ重要なのかを4つの理由から深掘りし、品目ごとの具体的な注意点を徹底解説します。

さらに、実践できる管理のポイントまで紹介しますので、自社の管理体制を見直し、品質・安全・コスト全ての面で最適化を図るためのヒントにしてみてください。

倉庫の温湿度管理が重要視される4つの理由

倉庫の温湿度管理が求められるのは、「保管している製品の品質を守るため」も重要な要素ですが、温湿度管理が求められる理由はそれだけにとどまりません。

実は、「法律の遵守」「従業員の安全確保」、「コスト削減」といった、企業経営の根幹に関わる様々な側面と深く結びついています。

この章では、なぜ倉庫の温湿度管理が重要視されるのか、その理由を4つの視点から詳しく解説します。


1.法律で定められた温湿度管理の義務と基準があるため

医薬品、化粧品、食品、危険物など、特定の物品を取り扱う倉庫においては、法律によって厳格な温湿度管理が義務付けられています。

食品衛生法やHACCP(ハサップ)の観点からも、食品倉庫における温度管理記録は、食中毒防止やトレーサビリティ確保における必須事項です。

万が一、適切な管理が行われていなかったり、監査時に記録を提出できなかったりした場合、業務停止命令などの行政処分を受けるリスクがあります。


2.製品・商品の品質劣化を防ぐため

多くの製品にとって、極端な温度変化や湿度は大敵です。適切な管理が行われていない倉庫では、次のような品質トラブルが発生しやすくなります。

● 高湿度による被害: 段ボールの強度が落ちて荷崩れが発生する、衣類や革製品にカビが生える、金属部品が錆びる、粉末製品が吸湿して固まる

● 低湿度(乾燥)による被害: 静電気が発生し精密機器が故障する、木材や紙製品がひび割れる、プラスチック製品が劣化する

● 高温・低温による被害: 食品の腐敗、チョコレートや化粧品の溶解、液体の凍結による容器破損、ゴム製品の変質

カビや錆が発生した製品は出荷できないだけでなく、「廃棄ロス」に伴う「廃棄費用」もかかります。

さらに、劣化した製品が顧客の手に渡れば、クレーム対応に追われるだけでなく、ブランドイメージの失墜という事態を招きかねません。


3.従業員の労働環境を安全かつ快適にするため

倉庫内作業は、体を動かす重労働が多い一方で、空調設備が十分でないケースも少なくありません。特に近年の猛暑において、倉庫内の温湿度管理は、従業員の安全と健康を守るためにも不可欠です。

高温多湿の環境下での作業は、熱中症のリスクを高めます。厚生労働省も職場における熱中症予防対策としてWBGT値(暑さ指数)の把握と管理を推奨しています。

一方で、冬場の極端な低温も問題です。体が冷え切った状態での作業は、筋肉が硬直し、転倒事故や腰痛などの労働災害を引き起こしやすくなります。

適切な温湿度環境を維持することは、従業員の健康を守るだけでなく、集中力の維持や作業効率の向上にもつながります。


4.電力消費の削減につなげるため

適切な管理を行うことこそが、無駄なエネルギー消費を抑える近道となります。

温度や湿度が「見える化」されていない倉庫では、担当者の感覚頼みとなり、空調が必要以上に稼働してしまうケースも少なくありません。

IoTセンサーなどを用いて倉庫内の温度分布を把握すれば、空調効率の悪い場所を特定し、サーキュレーターで空気を循環させるなどの対策が打てます。これにより、空調設備の負荷を減らし、結果として電気代の削減が可能です。

温湿度管理は、エネルギーコストの最適化と、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献という側面も持っています。

【品目別】倉庫での温湿度管理が必要な物品の注意点

一口に「倉庫」と言っても、保管される物品は、繊維製品から食品、精密機器まで多種多様です。また、それぞれの物品には、品質を維持するための「最適な温湿度環境」が存在します。

この章では、特に温湿度管理が重要となる代表的な品目を挙げ、それぞれに潜むリスクと管理上の注意点を具体的に解説していきます。自社の取り扱い品目と照らし合わせながら、最適な管理方法を見つけてみてください。


【布類】湿度管理でカビ対策をする

布類は、湿度は60%以下を目安に管理し、梅雨時期などは除湿機を稼働させ、空気が滞留しないよう送風機で循環させることが大切です。

特に綿や麻、ウールやシルクなどの天然繊維は吸湿性が高く、湿度が高い環境に長時間置かれると、繊維の奥でカビが繁殖し、変色や異臭の原因となります。また、高温多湿は衣類を食べる害虫の活動を活発化させるため、適切な温湿度管理が必要です。


【紙類】除湿で絶対湿度を下げる

紙類は、一般的な紙の保管適正湿度は40〜60%程度を目安に、相対湿度だけでなく「絶対湿度(空気中の水分量)」を意識することが大切です。

また、温度変化による結露を防ぐため、急激な温度変化を避け、恒温恒湿に近い環境を保ちましょう。

湿度が高すぎると、紙が波打つ(カーリング)、インクが滲む、カビが発生するといったトラブルが起きます。特に印刷用のロール紙などは、水分を含むことで寸法が狂い、印刷機での紙詰まりの原因となるため、要注意です。


【電化製品・精密機器】故障防止と静電気対策

電化製品や精密機器などは、温度は常温(20〜25℃程度)、湿度は40〜60%の範囲で厳密にコントロールする必要があります。

急激な温度変化によって内部に結露が生じると、回路がショートし、サビによる腐食で故障し、逆に湿度が低すぎると静電気が発生しやすくなるためです。わずかな静電気放電でも、繊細なICチップなどの電子部品は一瞬で破壊されてしまいます。

特に冬場は加湿を行い、静電気の発生を抑制することが重要です。静電気対策床(導電性床)の導入や、アースの確保と合わせて、温湿度管理による環境面からの対策を行いましょう。


【穀類】定温倉庫で高温多湿を避けて保管

穀類を保管する場合、高温多湿の環境では呼吸が活発になり、古米化するだけでなく、害虫発生やカビによる汚染のリスクが急増します。

穀類の保管には、温度を一定に保てる「定温倉庫」の使用が一般的です。倉庫内の温度は15℃以下、湿度は55〜75%程度が適正とされています。

15℃以下に保つことで、穀物の呼吸を抑制し、品質劣化と害虫の活動を同時に防ぐことが可能です。また、玄米などは過乾燥によるひび割れを防ぐため、ある程度の湿度維持も必要になります。


【生鮮青果物】適度に加湿し直接冷風に当てない

野菜や果物などの青果物は、水分が失われると、しなびて重量が減り、商品価値がなくなります。また、品目によっては低温障害を起こすものもあるため、品目ごとの適正温度を知ることが重要です。

多くの葉菜類は低温かつ高湿度(おおむね90%前後)を好みます。しかし、結露して水滴がつくとそこから腐敗が始まるため、繊細なコントロールが必要です。

特に「冷風を直接当てない」よう注意してください。直接エアコンの風が当たると、急速に乾燥し、品質劣化を招きます。間接的な冷却や、加湿器の併用、有孔フィルム包装などの対策が必要です。


【火薬】火気厳禁|防爆の観点から加湿する

火薬類や引火性の高い危険物を保管する倉庫では、「爆発・火災防止」が最優先事項です。

火薬類取締法などの法令に基づき、厳格な温度管理とともに、湿度計の設置と監視が義務付けられています。

最も警戒すべきは、静電気による火花(スパーク)です。防爆の観点から、あえて湿度を高めに設定することがあります。一般的な製品とは異なり、「乾燥=危険」という認識を持つことが大切です。

倉庫の温湿度管理における4つのポイント

倉庫の温湿度管理の重要性や、品目ごとの特性を理解した上で、次に考えるべきは「具体的にどのように管理体制を構築し、運用していくか」という実践的なステップです。

この章では、倉庫の温湿度管理を行う際のポイントを4つ解説します。一つずつ確実に実行していき、確実な品質保持と安全な職場環境の実現につなげましょう。


1.保管物品に合わせた「適正温湿度」で保管する

まず、自社倉庫で保管する全ての品目について、メーカー推奨の保管条件や法的基準を確認し、明確な管理基準値を設定してください。

また、広い倉庫内では、場所によって温度ムラが発生します。天井付近は熱がこもりやすく、出入り口付近は外気の影響を受けやすいものです。

まずは倉庫内のどの場所が暑くなりやすく、どこに湿気が溜まりやすいかを把握しましょう。その上で、熱に弱い製品は涼しいエリアに配置するなど、保管場所の最適化を行うことが重要です。


2.熱中症など従業員の安全管理対策を行う

製品だけでなく、厚生労働省が推奨するWBGT値(暑さ指数)を基準とし、作業現場にWBGT測定器の設置を行います。

その上で、以下のような従業員のための安全管理基準も設けましょう。

● 一定の指標を超えたら、強制的に休憩を入れるルールを作る

● 空調設備だけでなく、スポットクーラー、大型扇風機、空調服(ファン付き作業着)を導入する

● ウォーターサーバーや塩飴を常備し、自由に水分を摂取できる環境を作る

従業員に周知することで、安全意識の向上だけでなく、企業としての信頼感の向上につながります。


3.定期的な温湿度測定と正確な記録をルール化する

クレームが発生した際、過去の温湿度記録を提示できれば、自社の保管管理に問題がなかったことを証明できます。

温湿度を測定する際は、以下のように正確な記録ルールを作ることが大切です。

● 測定頻度の決定: 1日2回(朝・夕)、あるいは数時間おきなど

● 記録方法の統一: 手書きのチェックシートへの記入、あるいはデータロガーによる自動記録など

特に重要なのは「記録の改ざん防止」です。手書きの場合、記入漏れを後から適当な数値で埋めてしまうリスクがあります。信頼性の高い管理を目指すなら、人の手を介さない自動記録システムの導入を検討しましょう。


4.異常値発生時の対策と運用フローを構築する

どれだけ対策を講じていても、空調機の故障や停電、外気温の急激な変化などにより、基準値を逸脱する可能性は常にあります。

重要なのは、異常が発生した時の対応を事前に決めておくことです。

異常値を検知した際、現場担当者や管理者に通知が飛ぶ仕組みを作り、さらに異常時の際の対応を以下のようにフローチャート化しておきましょう。

● 製品を一時的に別のエリアへ退避させる

● 予備の空調機や除湿機を稼働させる

● 品質管理部門へ連絡し、出荷可否の判断を仰ぐ

対応フローをマニュアル化しておくことで、万が一の際も被害を最小限に食い止められます。

まとめ

本記事では、倉庫の温湿度管理が重要である理由から、品目別の注意点、実践的な管理のポイントまでを網羅的に解説しました。

製品の品質を守ることはもちろん、従業員の安全確保や省エネといった観点からも、温湿度管理は避けては通れない経営課題です。

しかし、人手による定期的な巡回や手書きでの記録といった従来のアナログな管理方法では、ヒューマンエラーのリスクや人件費の増大といった限界があるのも事実です。

これらの課題を根本から解決し、管理レベルを飛躍的に向上させるのが、IoT技術を活用した管理の「自動化」です。

品質と信頼が企業の生命線である今、管理体制のアップデートは、品質・信頼性の向上に直結する確実な投資と言えます。

まずは情報収集の一歩として、太平洋工業の定置型温度管理システム「温タイム」のような、現場でも手軽に始められるツールを検討してみてください。              

   

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