コラム
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2026年1月29日
昨今の「物流2024年問題」や燃料価格の高騰を受け、車両管理の効率化は待ったなしの状況と言えるでしょう。
そこで注目されているのが「GPSトラッカー」の活用です。かつては導入コストが高いイメージがありましたが、現在は技術の進歩により、低コストで手軽に車両や物流資材の位置情報を管理できるツールへと進化しています。
本記事では、GPSトラッカーの仕組みといった基礎知識から、業務に導入するメリット、失敗しない選び方を解説いたします。車両管理のDX化を進め、利益を生み出す体制を作るための第一歩として、ぜひお役立てください。
目次
まずは、GPSトラッカーとは具体的にどのような機器なのか、その定義と仕組みについて解説します。Air Tag・スマートタグとの違いを正しく理解したうえで、自社の課題解決に役立つかどうかを判断してみてください。
GPSトラッカーの定義と仕組み
GPSトラッカーとは、GPS衛星などを利用して対象物の位置を特定し、通信回線を通じて遠隔地の管理者に情報を知らせる端末のことです。
「モノが今どこにあるか」を知るためには、位置を測る「測位」と、そのデータを送る「通信」の2つの機能がセットになっていなければ、リアルタイムな管理ができません。
具体的なデータの流れは以下の通りです。
1. 測位:端末がGPS衛星から電波を受信し、緯度・経度を計算
2. 通信:取得したデータを携帯電話回線(4G/LTEなど)でクラウドサーバーへ送信する
3. 表示:管理者がPCやスマートフォンの地図アプリを開くと、対象物の現在地が表示される
この仕組みにより、管理者は遠隔地にいながらにして、「対象物が今どこにあるのか」や「どのようなルートを通ったのか(移動履歴)」をリアルタイムに近い状態で把握することが可能です。
GPSトラッカーとスマートタグの違い
よく混同されるのが、Appleの「Air Tag」に代表される「スマートタグ」です。どちらも「位置を知る」ためのツールですが、通信方式と得意とする用途が異なります。
それぞれの違いは以下の通りです。
| 項目 | GPSトラッカー | スマートタグ(Air Tagなど) |
| 主な通信方式 | 携帯電話回線 (LTE/4G等) | Bluetooth (スマホとの連携) |
| 通信範囲 | 携帯電波が届く場所なら 日本全国どこでも | スマホから 半径数十メートル以内 |
| 位置情報の更新 | 自動で定期送信 (リアルタイム) | 他人のスマホとすれ違った時のみ |
| 主な用途 | 車両管理、物流追跡、 子供・高齢者の見守り | 財布・鍵・カバンの 紛失防止 |
財布や鍵の紛失防止ならスマートタグで十分ですが、常に移動し続けるトラックや大切な荷物の管理には、自立通信可能なGPSトラッカーが必須です。
GPSトラッカーの選び方のポイント
GPSトラッカーと言っても、簡易的なものから業務用の高機能なものまで種類はさまざまです。ネットで調べてみると多くの製品がヒットするため、どれを選べば良いか迷ってしまう方もいるでしょう。この章では、自社の運用環境にマッチする最適な機種を選ぶためにチェックすべき4つのポイントをご紹介します。
位置情報の精度とリアルタイム性
業務効率化を目指すなら、「みちびき」等の複数衛星に対応し、かつ「1分〜数分間隔」で更新できる機種を選びましょう。
物流現場では、「今、この瞬間の場所」がわからないと、顧客への到着案内や急な配車指示に活用できません。
例えば、更新頻度が「30分に1回」の機種では、画面上はまだ高速道路にいるように見えても、実際にはすでに納品先に到着しているといったズレが生じます。導入後に「使えない」状態になるのを防ぐためにも、高精度かつ高頻度で更新できるスペックを確認することが重要です。
通信方式による分類(SIM内蔵・SIM不要タイプの違い)
リアルタイムでの車両管理を行いたい場合、「SIM不要(通信なし)」のロガー型は避け、SIMカードを利用する「通信型」を選んでください。
「SIM不要」製品の多くは、データを本体に記録するだけの「ロガー型」であり、遠隔監視はできません。
●SIM不要(ロガー型):帰社後に端末を回収し、PCに繋いで初めて「どこを通ったか」がわかる。盗難時や運行中は役に立たない。
●SIM内蔵(リアルタイム型):月額通信費はかかるが、常に現在地を把握可能。
業務管理としての機能(リアルタイム性)を求めるなら、通信費を含む契約が必要なタイプが最適です。
電源方式による分類(バッテリー式・車載電源式)
管理対象が「車両」なのか「資材(パレット等)」なのかによって、給電方法を使い分ける必要があります。
車両にはバッテリーがありますが、パレットやカゴ台車には電源がないため、運用に合わせた給電方式を選ばないと、充電の手間が業務を圧迫するからです。
トラック・営業車は、シガーソケット型やOBDII型を選べば、車両から常に給電されるため、充電切れの心配がありません。
カゴ台車・パレットの場合は電源が取れないため、長期間(数か月〜1年)稼働する大容量バッテリー内蔵型や、省電力なIoTモデルを選ぶと良いでしょう。
対応デバイスの確認(Android・iOS対応状況)
管理者が使用しているスマートフォンに対応した専用アプリ、もしくはスマホ対応のWeb管理画面があるかを確認しましょう。
トラブルや緊急対応は、管理者がデスク(PC)の前にいる時に起きるとは限りません。外出先や休日でも、手元のスマホで車両位置を確認できれば、「事故が起きた場所へ急行する」「顧客からのクレームに即答する」といった迅速な対応が可能になります。
PCだけでなく、スマホでの操作性(UI)が優れているサービスを選ぶことが、管理者の負担軽減に繋がります。
GPSトラッカーを導入することは、単に「場所がわかる」だけではありません。位置情報をデータとして活用することで、これまで見えなかった業務の無駄が浮き彫りになり、具体的な経営改善につながります。この章では、車両管理において特に効果の高い3つのメリットについて深掘りします。
1. 車両の運行管理・巡回ルートの効率化
GPSトラッカー最大のメリットは、「電話確認の全廃」と「空走距離の削減」による業務効率化です。
位置情報が可視化されることで、電話で場所を聞く必要がなくなり、最も効率的なルート指示ができます。さらに、画面上で「現場に最も近い空車」を一瞬で見つけ、次の集荷先へ向かわせることが可能です。
無駄な走行(空走)と通信の手間を減らすことで、燃費向上と業務スピードアップを同時に実現できます。
2.人件費の削減
正確なログデータを活用することで、ドライバーの残業時間削減と、事務員の管理工数削減に繋がります。
GPSの走行履歴は、日報作成や待機時間の証明における客観的なデータとして活用できるため、手作業の時間を大幅に削れるからです。
運行情報などを記録できるアプリと連携すれば、走行履歴から日報の下書きを自動作成できます。ドライバーは帰庫後に微修正するだけで済み、日報作成のための残業がなくなります。また、荷待ち時間の記録も自動化され、荷主への交渉材料として使うことが可能です。
「見えない時間」をデータ化することで、長時間労働の是正と事務コストの圧縮が可能になります。
3. 個人の安全管理と物流品の紛失防止
GPSトラッカーの導入により、車両だけでなく、ドライバーの安全を守り、高価な物流資材の紛失を防ぐ「守りの資産管理」が実現します。
常に監視状態を作ることで、盗難の抑止力になり、万が一の際も早期発見が可能になるからです。
●紛失防止:GPSで所在を特定し、回収に向かうことが可能
●安全管理:急ブレーキや速度超過を検知し、アラートで事故を未然に防ぐ
資産の紛失や事故による損失は甚大です。GPSトラッカーは、これらを未然に防ぐための保険としての役割も果たします。
業務効率化に役立つGPSトラッカーですが、導入の進め方を間違えると従業員の反発を招いたり、運用が形骸化したりする恐れがあります。この章では、システムを円滑に稼働させ、組織全体でメリットを享受するために、事前に押さえておくべき4つの注意点を解説します。
1. 従業員に対して十分な周知を行う
導入前には必ず説明会を開き、従業員の理解と納得を得るプロセスを経てください。
何の説明もなくGPSをつけると、ドライバーは「監視されている」「信用されていない」と不信感を抱き、モチベーション低下を招きます。
「いつから」「どの車両に」「どのような機器を」導入するのかを隠さずにオープンに説明しましょう。信頼関係を損なわないよう、事前の丁寧なコミュニケーションが不可欠です。
2. 導入目的を明確に示す
「会社のため」ではなく、「ドライバー自身にとってのメリット」を強調して目的を伝えましょう。現場のスタッフにとって「自分が楽になる・守られる」という実感こそが、新しいシステムを受け入れる動機になります。
「サボり監視のため」ではなく、「電話連絡をなくして運転に集中してもらうため」「万が一の事故の際にすぐに駆けつけるため」という目的を伝えましょう。「あなたを守るためのツールである」というメッセージを明確に打ち出すことが重要です。
3. プライバシーに配慮する
業務時間外の位置情報の扱いや、休憩時間の記録について明確なルールを設けましょう。
プライバシーの侵害に対する懸念は、導入時の最も大きな障壁となります。特に社用車を通勤利用している場合は注意が必要です。
「業務終了後は電源を切る」「休憩中の詳細な移動先までは追及しない」といった運用規定を作成し、周知してください。公私の線引きをしっかりと行うことで、従業員も安心してGPS付きの車両を利用できます。
4. 労働時間を適切に管理する
GPSの記録データと、勤怠管理上の労働時間にズレが生じないよう、適正な運用を心がけてください。
GPSデータは客観的な労働の証拠となり得るため、未払い残業代などの労務トラブルの火種になる可能性があります。GPS上では稼働しているのに、タイムカードが先に打刻されているような状況を放置してはいけません。
GPS導入は、どんぶり勘定だった労務管理を見直し、コンプライアンスを強化する良い機会でもあります。
本記事では、「GPSトラッカーとは」という基礎知識から、車両管理における導入メリット、選び方のポイントについて解説しました。
物流業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、車両や資材の位置情報をリアルタイムで「見える化」することは、業務効率化とコスト削減を実現する上で不可欠な手段です。
しかし、安易に安価な個人向け製品を選んでしまうと、バッテリー切れや通信エリア外などのトラブルで、肝心な時に位置が把握できないリスクもあります。そのため、丈夫なハードウェアと使いやすい管理システムを備えた、信頼できるアイテムを選ぶことが重要です。
DX化ニーズの高まりを受け、物流業界で導入が進んでいる車両運行管理ソリューションに、株式会社ドコマップジャパンが展開するスマートフォン向け運行状況記録アプリケーション「docomapPLUS(ドコマッププラス)」があります。
こちらは同じくドコマップジャパンが提供する車両位置情報管理サービス「DoCoMAP」専用のスマートフォン向けアプリケーションで、ドライバーが活用することで手軽に車両の位置管理やドライバー管理が可能です。
車両の運行管理と同様に重要なポイントとして、輸送物の品質管理があります。
当社の提供する温度ロガー「e-WAVES BLE」は、トラックの荷室やパレット、カゴ台車などに装着し、温湿度を計測できるロガーで、「docomapPLUS」とも連携が可能です。その為、動態管理に温度情報を加えてクラウドへアップロードでき、運行管理だけでなく、「モノ」の品質まで一元管理できることが強みです。
「車両管理と合わせて輸送物の温湿度管理も同時に行い手間を減らしたい」とお考えの方は、ぜひ一度、当社へお問い合わせいただき、検討してみてはいかがでしょうか。
DoCoMAP専用運行情報記録アプリケーション「docomapPLUS」
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